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はぐろべったり(歯黒べったり) [hagurobettari]

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或人(あるひと)古(ふる)き社(やしろ)の前(まへ)を通(とふ)りしに、うつらかなる女(おんな)の伏拝(ふしおが)みに居(ゐ)たれば戯(たわぶ)れて云(いひ)て過(すぎ)んとせしに、彼女(かのおんな)の振(ふり)むきたる顔(かほ)を見れば、目鼻(めはな)なく口斗(くちばか)り大(おほ)きくて、げらげらと笑(わら)ひしかほ、二目(ふため)と見るべきやうもなし。 『繪本百物語』−桃山人夜話−
お歯黒べったりとも。
声をかけ振り向くと目鼻がなくお歯黒を付けた大きな口だけがありゲラゲラと笑う。
驚かせるだけで危害を加える妖怪ではないらしい。
のっぺらぼうの仲間とも云われている。

貴族の化粧から広まったお歯黒(鉄漿)は江戸時代、主に既婚女性の化粧として定着していた。
暗がりで見る白粉を塗ったお歯黒の顔は、想像しても怖い。
この手の妖怪は、当時の女性を揶揄したものだったのかしれない。

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